フィクションの中へ
没入の美学
ワークショップ「フィクションの中へー没入の美学」
小説を読みながら、映画をみながら、あるいはビデオゲームをプレイしながら、その「世界」に入りこみ、時には現実を忘れてしまう──フィクション作品は「没入」という経験をとおしてはじめてフィクションになるといえる。しかしながらフィクションにとって中心的な概念であるこの「没入」が正面から論じられるようになったのは比較的最近のことにすぎない。私たちがフィクションに没入しているとき、いったいどのような心的メカニズムが作動しているのだろうか。そのメカニズムを測定し、記述する方法はあるのだろうか。あるいはフィクション的没入経験は、私たちに何をもたらすのだろうか。本ワークショップは、文学理論、分析美学、心理学それぞれの立場から領域横断的にこの「没入」を捉えなおし、フィクション研究の新たな可能性を探ることを目的としている。
登壇者
高橋幸平(同志社女子大学):フィクションの哲学における没入
松永伸司(京都大学):フィクションがなまなましくなるとき
小山内秀和(畿央大学):心理学は没入体験にどうアプローチできるのか
岡田進之介(東京大学):没入のための制度としてのフィクション─情動的参与のためのデザインとその規範の観点から
久保昭博(関西学院大学・司会)